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よろしかったら続きより、どうぞ。
『真白い、赤』
雪の積もった白い白い道に、ばっと赤い色が広がった。
どさりっという音を最後に、辺りはしんしんと
降り続く雪の音のみとなった。
倒れている人影は、五、いや六人か。
詰めていた息を、ふっと吐き出した土方は愛刀を鞘へと収めると
雪降る中、自宅へと歩を進めた。
『真選組、土方十四郎だな』
そう声を掛けられ囲まれた。
真選組副長である彼には攘夷志士に囲まれる事などは
いつもの事だった。
だからいつもどうりに斬り捨てた。
少し違うところは、返り血をかなり浴びたくらいか。
そしてその血が、雪降る気温の所為か、いやに熱く感じられた事。
歩いていた足を、ふっと止めると土方は、頬を手のひらでぐいっと拭った。
手のひらには、真っ赤な色。
その上に真っ白い雪が降っては消えていく。
消えゆく雪ごと手のひらを、ぐっと握り締めると再び歩き出した。
…血の熱さをいまだに感じたまま。
路地裏。
この角を曲がると自宅までは後少しの距離。
角を曲がった土方の前方に見慣れた長身が踊る様に歩いていた。
「…ん~。んん?おお!十四郎~!ただいま~。
ちょうど今おんしの家へ……如何した、怪我しちゅうがか十四郎」
サングラスの奥、陽気な顔を引っ込めて坂本は土方へと歩み寄ると
手を伸ばして頬へと触れようとした。
しかし土方はその手を避けるように、すっと身を引いた。
「ただの返り血だ。心配いらねぇ。…お前まで汚れる」
だが、そう言う土方の目は血にまみれてもなお、汚れなくどこまでも真っ直ぐだった。
驚き見惚れるように見開いた坂本の目は、しかしすぐに苦笑に変わった。
そして、血まみれの土方をきつく抱きしめた。
「それがどうした。わしかて、もうとっくに血まみれじゃ。
…それに血まみれでも、すっと背筋延ばして生きよる十四郎に惚れちゅうがよ」
触れられた途端、血の熱がすぅーっと引いていくのを感じながら土方は目を閉じた。
真っ直ぐな生き方に、惚れ込んでいるのはきっと自分も一緒なのだろう。
「……阿保な奴だな、お前」
「十四郎も、じゃろうが。…さぁ、帰ろう」
血に濡れた土方の手を躊躇いもなく握る坂本の手を、土方も強く握り返して。
揺るがない二つの足取りは、白い道に真っ直ぐにその跡を残して行った。
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その時々に、萌えてるものを
吐き出してます。
マイナー嗜好。
チキン。
坂土が広がればいいと全力で思います。
関東圏の人間なので、坂本さんの言葉がいろいろおかしな事になってるかと思いますがスルーして頂けると助かります。
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