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「銀魂」坂土中心の二次元創作サイトです。 同人、女性向け、坂土なんてありえんだろう、という方はご遠慮ください。
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こんばんは、奈緒です。

坂土小話です。
コントラスト5です。
一応の完結です。
…でも話が降ってきたらまた書きます。

いろいろ力不足でもう、倒れそうですが…。
お楽しみ頂けると何よりです。

それでは。






『色彩』
ーコントラスト5ー


恋をすると人生薔薇色になるという。


確かに、女の子と一緒に居る時は楽しい。
柔らかいし、かわいいしの。
確かに楽しかったんじゃが、薔薇色という感じじゃなかった。


けれど、違った。
あぁ、こういう事かと思った。
十四郎への気持ちを自覚してからは、
見える景色が違って見えた。


好きな人が居るというのは、こういう感じか。
…成る程、薔薇色とはよくゆうたもんじゃ。
おまけに、その人がどうやら自分の事を好きならなおさら。
浮かれもするもんじゃ。



それなのに。



「悪いがお前と付き合う気はない」
「…なっ、なき?おんしもわしの事…」
「…だからだ。お前とは絶対付き合わない。…話それだけか?俺部活だから
 もう行くわ」
「おっ…、ちょ、ちょっ…」



薔薇色から灰色へと変わった瞬間じゃった。

 

 


あれから三日。
確かに、十四郎は『だからだ』とゆうちょった。
って事はわしの事、好いちょるのになんで付き合えんのか。
って十四郎に聞きたいんじゃが、会えない十四郎と。
…避けられてるんかのぅ。
今だ人生灰色なわしは、灰色なまま今日も今日とて
ぼんやりと授業を受けていた。


「…おい、阿保。次移動教室だぞ」
「……ん?おお、銀時か。移動か、ほうか~、準備せんとな」
「なあ、おい阿呆もじゃ。お前なに、ぼけーっとしてんの?」
「ん?なんの事じゃ?」
「土方くん、貰うよ?」
「……っ!銀時、おんし…」


何時もの眠そうな目のまま、にっと口を上げて銀時は言った。


「土方くんの唇は柔らかかったよ」


聞いた瞬間かっと、頭に血が上った。
十四郎に、自分以外の奴が触ったのか。
気づいたら銀時の胸倉を掴んでいた。


「…おんしには、やらん」
「へっ、なら。…しっかりつかまえとけ、この阿呆がっ!」


力一杯頬を殴られ、口の中に血の味が広がった。


「…言われんでも、離さんきに」
「そーしろ。…じゃねえと、マジで獲るぞ。このヤロー」


常には見れない真剣な表情を一瞬で隠し、再び緩い顔で銀時はそう言った。


「…ははっ、銀時。おんし、いい奴じゃの」
「…はあぁ。なんでこんなのがいいかねぇ~、土方くん。…俺はお前嫌いだよ」
「わしは銀時、好きじゃよ」
「あぁ、土方くん考え直すなら今だよ。…つか、死ねこの阿呆」
「わしは、いい友達を持ったもんじゃ」
「聞けっての、人の話を」

 

 



放課後。
避けられてるじゃったら、確実に逃げられない時を狙ったらいいんじゃ。
がらがらと引き戸をあけて、剣道部が練習している第二体育館へと入った。
壁際、袴姿で防具を身に着けようとしていた、十四郎の手を取る。


「…辰馬」
「話がある」
「話って、お前今部活中…」
「部活中でもないと、十四郎逃げるろうが」
「…わかったから、手離せ」
「いやじゃ。離さん」
「…っ。…はぁ、近藤さん、すまねえ、ちょっと出てくるわ」

 



木々が鬱蒼としていて、人気の無い校舎裏。
掴んだままの手はそのままにわしは十四郎へと向き直る。


「わしは、おんしが好きじゃ」
「また、その話か。だから言ってるだろうが、付き合わないって」
「けど、おんしもわしの事好き…」
「…っ!だからっ!好きっ…だから、付き合わねぇって言ってんだろうがっ!
 お前が、どういうノリで俺の事好きだとか抜かしてんのか知らねぇけどなっ、
 俺はっ…!俺は…」
「わしは本気じゃ。ノリとかそんなんじゃないきに。自分でも気ぃつかんなんて
 阿呆な話じゃが。…わしはずっと、十四郎が好きじゃったちや」


ぐっと手に力を込めた。…十四郎にこの気持ちが伝わるように。


「……っ」
「そりゃ、女の子にも振られる。…他に好きな奴がおるんじゃな」
「お…俺はお前の笑顔とか、底抜けに明るいとことか、おっ、おかしいくらいに
 好きなんだよ…。だからっ、世間に言えないようなそんなんじゃなくて…。
 お前には女と結婚してガキに沢山囲まれて…。
 そんな風に普通に幸せになってもらいてぇんだよ…」
「そんで自分は銀時と一緒におるがか?」
「なっ、なんであいつが出てくるんだ!?」
「銀時とキスしたそうじゃの、十四郎」
「あっ、あれは…」
「なあ、十四郎。普通の幸せって何じゃ?世間って何じゃ?
 そんなくだらないモンでわしの気持ちを、十四郎の気持ちを否定せんでくれ。
 …それに十四郎の事大切じゃっちゅーこの気持ちは、後ろめたいもんじゃなか」
「辰馬…」
「それにな、わしは意外と独占欲が強いみたいでの。十四郎が他の奴となんて、
 考えるだけでも嫉妬でどうにかなりそうじゃ。
 …わしは十四郎と一緒じゃないと幸せになれんよ。
 十四郎の事が一等好きじゃから」


大きく見開いた十四郎の目が、ぐしゃりと歪んで涙が零れた。


「…っお前、本当にっ…、阿呆だ…」


俯いた十四郎の頬に触れて、ゆっくりと上を向かせた。
涙で濡れた目元に唇で触れる。


「泣きな、十四郎」
「…っふ、くっ…っき。…好きだ、辰馬」
「うん。…うん、わしも好きじゃ…。なあ、キスしたちいいか?」
「そんな事…いちいち、…っ聞くんじゃねぇよ…」
「キスしたら、歯止めきかんようになるよ?」
「だっ、だからっ!…いちいち聞くんじゃねぇ…」


耳まで真っ赤になっている十四郎の唇に噛み付くようにキスをした。


…好きな人と抱き合うという事がどういう事か初めて知った。
こんなにも幸福で、そして少し恐いとは思わなかった。


いろんな感情が溢れ出でて目眩がする。

 

 

 


「おお、綺麗な夕焼けじゃ」
「そうだな」
「…体平気か?」
「……っ!だから、聞くんじゃねぇつーんだよ!」
「ほがな事ゆうたかて、心配じゃし…」
「平気だ。…背中少し痛いけど」
「わしの制服退いたんじゃけどなぁ。まあ、何たって外…あいたっ!」
「黙らねぇと、殴るぞ」
「…そういう事は殴る前に言うもんじゃ~。…なぁ、十四郎?」
「今度は何だ?」
「手繋いでも、いいがか?」
「……だから聞くなっての」

 


手を握りながら、この感情を噛み締める。


好きな人が居るというのは、薔薇色のように華やかなものでなく、
もっと暗くもっと狂おしく…もっと泣きそうなくらい綺麗で。


まるで。
この夕焼けのような…。

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袴っていいですよね。
 

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プロフィール
HN:
奈緒(なお)
性別:
女性
自己紹介:
銀魂坂土がいつまでも好き。
その時々に、萌えてるものを
吐き出してます。
マイナー嗜好。
チキン。
坂土が広がればいいと全力で思います。

関東圏の人間なので、坂本さんの言葉がいろいろおかしな事になってるかと思いますがスルーして頂けると助かります。

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